竹野で生まれ変わった元空き家たち 住まい編②

今回のお宅は…

今回お邪魔したお宅は、結婚を機に奥さまの故郷である竹野へUターンした宮崎家。 2015年には竹野の自然をフルに満喫できるアクティビティを提供する会社「Mother Earth」を設立し、カヌー・SUP・ヨガ・ピラティスなどの体験を通して、お客様の五感を楽しませてくれるご夫婦です。なんと3人のお子さんを育てながら、旅館「海の音」と「海の家メリ Adventure Tours」も経営し、まるでマラソンランナーのようなスピードと持久力で日々を駆け抜けている印象です。今回はそんな宮崎家が住まいとして使っている元空き家について奥さまに取材しました。まずはこの素敵な立地に感激!

本当に海が目の前!
宮崎家

この空き家を見つけたきっかけは?

昔小学校の同級生が住んでいた家でした。私たちが住まいを探していた頃、この家は空き家になってから既に10年以上が経過していました。元々住んでいた同級生は大阪に越していて、家族や親せきが竹野に戻って来る予定もなかったので、売ってほしいと伝えたところ、すぐに快諾してくれました。ピンポイントでここがいいと思った理由として、私の両親の世代から経営していた海の家のすぐ隣だったことも大きかったです。

目の前の海は夏が本番

修繕内容は?

柱や梁といった骨組だけを残して、ほぼ全部やり替えました。また、1階海側には念願の展望デッキとリラックスルームを新たに設置しました。壁塗りなど、DIYした部分もありますが、主には業者に発注した形です。工事期間は約3か月でした。

竹野には43の集落がありますが、うちの集落は40数軒で成り立っています。1970年代は民宿ブームで、集落の30軒以上が民宿を経営していました。当時は自宅兼民宿というのがスタンダードなスタイル。私の実家もそうでしたが、私たちの購入したこの家も元民宿でした。なので、修繕前はお風呂もトイレも複数あり、それらも生活スタイルに合わせて数を減らしました。

自然光が入って来るダイニング

お気に入りポイントは?

なんと言ってもリラックスルームの夕日が見える窓です。うちの集落のいいところは浜が西側を向いているところ。このため、ほぼ年間を通して海に沈む夕日を見られます。購入当初からの私の希望で「カフェっぽく修繕したい!」という想いがあったので、夕日を見ながらリラックスできるこの空間は本当にお気に入りです。

もちろん、リラックスルームの外側につくった展望デッキもこだわりのポイント。この前、あまりに夕日が綺麗だった日に、デッキへと続くドアを開けて勢いよく飛び出していった娘が外の水たまりに気づかずハマっていました(笑)。つい飛び出したくなるような景色を目の前に暮らしているんだなぁと実感しました。

夕日の見えるリラックスルーム
階段付近は吹き抜け&おしゃれな照明でカフェのような雰囲気

家にあった残置物は?

元民宿なので、残っていたものは沢山ありましたが、処分費は元家主が負担してくれたので、とてもありがたかったです。

後に吹き抜けとなる修繕前の階段付近(元民宿の空き家には往々にして懐かしのポスターあり)
もともとあったタイルの洗面所はほぼそのまま活用

仲介した不動産業者さんからのコメント

最近、都会在住の移住希望者の方からの不動産の問い合わせが増えています。一方で、長い期間空き家だった家は修繕費が高くなり過ぎるという理由から、移住希望者が購入を諦めてしまうケースも多いです。今の宮崎さんのお宅は、買い手側からのアプローチがあったので事が進みましたが、それがなければ今も空き家だったかもしれません。空き家の所有者が放置するのではなく、早めの決断を下すことが大切です。

宮崎家から現在空き家を所有している人へ

空き家は放置していても仕方がないと思っています。家主さんが住んだり使ったりする予定がなくて、使いたいという相手がいるのなら売ったり貸したりした方がいいです。そして、「売るなら今!」をお伝えしたいです。

私たちがこの家を購入したのは3人目の子どもを妊娠した頃で、記憶がないぐらい目まぐるしい日々でしたが、家を修繕して理想の形に変わっていくのが楽しすぎて、この次に旅館の物件も購入しようと踏み切った経緯があります。移住者も含めた子育て世代が地域で頑張るきっかけになるので、ぜひ提供してあげてほしいです。

編集後記

まさに「働き盛り」という言葉がぴったりなエネルギッシュな世代が住まい用・事業所用として空き家を複数活用しながら暮らしている様子のよくわかる取材でした。階段付近のビフォー・アフターを見て、「絶対にこうしたい!」という強い想いが、こんなにも家を生まれ変わらせたのだと納得しました。次回は竹野にできたお酒とお魚の美味しいあのお店にお邪魔します。お楽しみに!

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