竹野で生まれ変わった元空き家たち 事業所編②
今回のお店は…
竹野浜の目の前に広がる焼板の町並みの中にできた、1棟貸しのお宿「take one」さんです。2021年12月にオープンしたばかりの出来立てほやほやです。
オーナーの権家は2021年3月に大阪から竹野に移住しました。旦那様は地域おこし協力隊として活躍中で、「はじめちゃん」の愛称で地域の人たちからも親しまれています。夫婦で3人の子どもたちを育てながら、この「take one」の運営を始めました。新しいことに次々とトライする意欲的な彼らに、お話を聞いていきます。
どんな場所を探していましたか?
海の近くで起業したかったので、竹野浜の近くで探そうと思いました。あまり建物にお金をかけたくなかったので、物件の金額はなるべく低く、また、修繕費もあまりかからないところを希望しました。
移住先を探していた際、たまたま大阪で行われた豊岡市の移住相談イベントに参加しました。その時に来ていたたけのかぞくと出会って竹野のことを知り、2020年12月に初めて竹野を訪れました。
妻も海が大好きなので、竹野浜を見て二人でその美しさに感動し、ここにしようと決めました。初めての訪問にも関わらず、着いてすぐに物件を2軒見ました。そのうちの1軒がこの物件です。もう1軒は修繕費が高くなりそうだったのでやめました。
選んだ物件も過去は民宿で部屋数も多く、空き家になる直前に改修されたばかりだったので、状態がよかったのも決め手でした。
空き家を探す際、苦労した点は?
紹介してもらえる物件の選択肢が少なかったです。たけのかぞくは特に賃貸物件が少ないと言っていました。本当は移住して間もない人は初めは賃貸で家を借りて、それから購入するのが理想的なのではないかと思います。
修繕内容は?
ほぼすべて、自分と家族と友人がDIYで直しました。工事総額は約100万円、修繕期間は3人で約2か月でした。
まず、1階にあった独立キッチンと和室2つの壁をぶち抜いて、広いキッチン&ダイニングにしました。このエリアのフローリング化や壁塗りも自分たちで行いました。テーブルやソファ、照明も洋風なものを選び、海外の人が来てもゆっくりできるスペースにしています。
2階の客室は和風ですが、もともと綺麗だったのでほとんどいじっていません。その代わり、ふかふかなマットと布団を新しく用意して、寝心地ばっちりの環境を整えています。
また、玄関周りに漆喰を塗り、お客さんが入ってきたときに明るい印象になるようにしました。
お気に入りポイントは?
1階のキッチンダイニングはいい雰囲気になったと思います。1棟貸しのお客さんがいるときはもちろん彼らの休憩スペースとなりますが、実はそれ以外の使い方もしています。
その1つが毎週金曜日の夜に開催している「タケノバ」です。竹野の地元の人や竹野を訪れた人が、何気ない時間を過ごす空間として利用してもらってます。移住してすぐに「若い人の集まれる場所が特に少ないなぁ」と思ったことがきっかけで、2021年10月にスタートしました。今も楽しい仲間たちが毎週気楽に来てくれます。
今後も1棟貸しのお宿としてだけでなく、多様なニーズに合わせたレンタルスペースとして利用してもらえたらと考えています。
家にあった残置物は?
元家主さんが既にほとんど処分してくれていました。少し残っていたものは自分で処理場に持って行きました。まだ使えそうでもここでは使わないものは実家に持って行ったりもしました。
元家主さんからのコメント
最後に1人で民宿をしていた姉が亡くなり、その後は身内の中に誰も使う予定がありませんでした。まだまだ綺麗な状態だったので放っておくのは勿体ないと思っていました。使ってくれる人が現れてありがたい限りです。
「take one」さんから現在空き家を所有している人へ
誰も住んでいない空き家は廃れる一方だと思います。建物に対する思い入れが強すぎて、年に1度しか使わないのに大切に持っておくことで結局朽ちてしまう…というのは、なんだか本末転倒な気がします。大事な建物なら、次の未来を考えてあげるのも愛情なのではないでしょうか。
編集後記
移住して1年も経っていないことが信じられないくらい、スピーディな活動が頼もしいです。宿は宿としての機能だけでなく、地域の人も旅人も多様な場として使えるところが面白いですね。広くて綺麗なキッチン&ダイニングもあるので、仲間と気兼ねなく楽しめるところが魅力的です。空き家を手放した人が親戚の集まりの場としても利用できそうです。詳細情報はこちらをご覧ください。「take one」https://www.takeone-house.com/
次回は、竹野の海中を案内してくれるあのお店にお邪魔します。お楽しみに!