竹野で生まれ変わった元空き家たち 事業所編④

今回のお店は…

JR竹野駅から線路に沿って南側に車で1~2分走ったところにある高田家へお邪魔しました。2017年にご夫婦で大阪から移住して、5年近くもコツコツとこの物件に住みながら工事を続けています。大工のお父さんも加勢して、基礎や柱も含め建物のほぼすべてをDIYで改修しているので、これだけの期間がかかることにも納得です。今回は、間もなく完成という状態で、まだ資材も置いてある中、無理を言って取材させていただきました。

高田さんは竹野に来る前に大阪の十三で飲食店を営んでいて、その頃から夏場によく訪れていた竹野で新たに飲食店を開業するため、「すべて自分たちで創る」ということをモットーに本当に1から10まで業者を入れずに手掛けています。そんなこだわりの詰まったこの家について、お話を聞いていきます。

高田家外観
高田夫妻

どんな場所を探していましたか?

自分たちの飲食店に加え、同じ建物内で小宿ができそうな場所を探していました。最初は竹野浜の近くで探していましたが、2~3年なかなか見つからず、市内の不動産業者に案内してもらったこの家と出会いました。大阪の友人たちも呼んで楽しめる店にしたかったので、彼らも泊まっていける場所にしたくて自分たちでこの家を工事することに決めました。

購入時の外観(ジャングル)

修繕内容は?

本当にすべてです。工事期間は5年近く、工事費用は家を買った価格以上にかけています。

1階で飲食店を、2階で小宿を経営する予定にしています。

1階部分は、厨房・応接間・田の字の和室4つがありましたが、すべての壁を取っ払い、厨房&応接間をキッチン&カウンターに、田の字の和室4つのうち3つは飲食店に来るお客さんのスペースにしました。田の字の和室の残りの1部屋は同居し始めた両親の居室になっています。また、キッチン&カウンターの奥にあるバス・トイレもより快適なものへと新調しました。

キッチンに美しく張られたタイルも旦那様の手作業
新しくなったバスルーム

2階部分は、廊下と部屋の位置を逆転させました。外壁も焼板風のものに替えています。

工事は私の父親にも手伝ってもらいました。左官工事や電気工事もできる人なので、色々な場面で助かりました。一番力を入れたのは湿気防止やすき間をなくすための工事です。但馬地方は湿度が高く、また、冬はすき間風があると寒いので、こうした機能面にはだいぶ気を遣いました。消防の規制が厳しくなっているので、防火のための工事も大変でした。

また、メインの建物以外に、もともとあった小屋の修繕や、畑の開墾もしています。畑では、パクチーなどお店でも使う野菜を育てています。

修繕中の小屋(取材時は雪)

お気に入りポイントは?

2階の部屋からの景色です。廊下と部屋の位置を逆転させたのは、もともとあった廊下側の景色の方をお客さんに見てもらいたいと思ったからです。改修後の今は2階の部屋から山陰線の赤い列車が通る風景やその奥の田園風景、さらにその奥には城崎との間にある山々が見えるようになりました。泊まりに来たお客さんにはこの風景を見て、寛いでほしいです。

お店の飲食スペースには大きな窓(こちらも線路側なので素敵な風景)

高田夫妻から現在空き家を所有している人へ

自分たちも空き家さがしには苦労しました。空き家をさがしている人がいたら、売るか貸すかしてあげてください。お子さんやお孫さんのためにとっておきたいという声もよく耳にしますが、使わない期間が長いのはもったいないです。特に、竹野浜は観光地として大事な場所だと思うので、海沿いの物件は新しいことをしたい人がいるのなら、使えるようにしてあげた方がいいと思ってます。

編集後記

高田家の工事中の家は、いつ前を通っても「また進化しているなぁ」とその過程を楽しみにしていました。今回5年越しの工事も間もなく完成と伺い、次はどんなお店になるのかが楽しみになってきました。いつもご家庭で作られているお料理もSNSで拝見していたので、スパイシーでエスニックなものが食べられるのでは?!と勝手に期待しています。旦那様がキッチンに、奥様がカウンターに立つ予定だとか。お店のHPはまだのようですが、新たな情報があれば、また共有したいと思います。

次回は、竹野川の河口に移住し、船のある生活をされているご夫婦のお宅にお邪魔します。お楽しみに!

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