竹野で生まれ変わった元空き家たち 住まい編③

今回のお宅は…

今回お邪魔したお宅は、2017年に大阪から移住した眞鍋家。移住当時はご夫婦とお子さん2人、犬1匹、猫1匹という家族構成でしたが、移住してから第3子が竹野で誕生。旦那様は竹野で唯一の定置網船「松正丸」に乗って早朝に出航し、奥様は地域の介護施設で働いています。

今回の物件を修繕する際、住み始める前の基礎工事は業者に発注されてますが、眞鍋さんは今もこの家に住みながらDIYで修繕を続けています。早朝に出航して漁場へ行き、帰港してから昼をまたいで竹野~舞鶴間をトラックで(魚を陸送するため)往復することもあり、夕方にはこども園に預けている子どもたちのお迎えに。このハードなスケジュールの中、DIYの時間を捻出していることにまず驚きです。そんな眞鍋さんにお話を聞いていきます。

外観(玄関周りには子どもたちの乗り物がいっぱい)
眞鍋家

どんな場所を探していましたか?

元気な子どもたちに加え、犬と猫も飼っていたので、汚したり傷つけたりしても気を遣わなくていいように、最初から売物件を探していました。周辺環境の条件としては、夫婦ともに海が好きなので、浜まで歩いて行けるところ。また、子どもたちが小学校まで歩いて通える立地がいいと思っていました。

空き家を探す際、苦労した点は?

竹野が気に入って、豊岡市内の不動産業者のHPで物件を見ていましたが、竹野地域の売物件自体が少なかったので、なかなか条件に合うものを探すのは大変でした。また、買うと決めた家の家主さんから途中で「やっぱり売るのが嫌になった」と言われたり、困った体験もありました。最終的には不動産業者に案内してもらった物件に決めました。

また、購入してから修繕工事を発注しましたが、大阪で仕事をしていたので、一度も工事現場に足を運ぶことができませんでした。その代わりに遠隔で業者に対して細かい注文をするのが大変でした。正直に言うと、思っていたのと違う仕上がりになってしまった箇所もあります。

修繕内容は?

住む前の基礎工事として、下水工事、バス・トイレ・キッチンの新調など1階はほぼ全面改修。2階は一部フローリング化やトイレの新調。また、住み始めてから外壁や雨樋の交換など外周りの工事も発注しました。工事総額は約1,500万円、修繕期間は約3か月でした。

その後はDIYで自分好みにコツコツ直しています。住み始めた当初は庭がジャングル状態でしたが、草刈りや木の根っこの掘り返しを行った後、家と庭の間にデッキを作りました(デッキは外注、屋根はDIY)。但馬地域は雨の日が多いので、屋根付きの洗濯物干し場としても大活躍しています。

また、すき間時間を見つけては、壁に珪藻土や漆喰を塗ったり、天井の板を張り替えたり…。DIYはこれからまだ続けます。

DIYで壁も天井も建具も変えて明るい雰囲気に
取材時DIY中だった2階の一室も…
無事仕上がったとご連絡いただきました!

お気に入りポイントは?

大阪にいた頃に住んでいた家と今の家の広さを比べてみたんですが、庭も入れたらなんと5倍の広さになっていました。子どもたちが大きくなったら自分の部屋を用意してあげられそうですし、自分の兄弟や友達が来た時に泊まれるスペースを作れたのが嬉しいです。

もともと1階部分は仕切りが多かったのですが、家族も多いので広々と使いたいと思い、壁をぶち抜いてリビングを広くとりました。キッチンから子どもたちの様子もよく見えるので安心です。

また、なんと言っても環境には恵まれていると思います。子どもと夕方魚釣りをしに行ったり、猫も気ままに家の中と外を行き来したりして、のびのびと暮らしています。夏には庭のデッキで友達とBBQをしながらビールを飲んだり、都会では絶対にできなかったことが実現しています。

ジャングル状態だった頃の庭
きれいになった庭とお手製の屋根付きデッキ

家にあった残置物は?

元家主さんが処分してくれたので助かりました。

眞鍋家から現在空き家を所有している人へ

使っていない物件があるのなら、売ったり貸したりした方がいいと思います。よく、「とりあえず持っておく」とか、「孫のためにとっておく」といった空き家所有者の声を耳にしますが、もしかしたら単なる希望であり、「お孫さんは竹野に帰って来ないのでは?」と思ってしまいます。

編集後記

まずは水回りなどを住める状態にするために工事を外注し、あとは住みながらコツコツDIYで直していく…という方法もあるということに気づかせてもらえる取材でした。家族で暮らしながら、「こうだったら快適だな」とか「次はこんなことがしたい!」と子どもの成長に合わせて色々と直していくのも面白そうです。次回は古民家×テクノロジーをテーマに改修しているお宅にお邪魔します。お楽しみに!

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